時々、小中学生の親御さんが他の眼科に行ってナイトコンタクト(オルソケラトロジー)をお願いしたが、近視の度数が強すぎて断られたという事例が度々あります。
話を聞くとその眼科ではマイナス4.5ジオプターまでしか対応してないから治療ができないという事です。
ほんべ眼科では2001年よりナイトコンタクトの治療を取り入れていますがレンズはその時から一貫してアメリカのメーカーの物を利用しています。
そしてマイナス8d(ジオプター)までなら可能性はありと判断し、お試しコースをしてもらっています。結果的には多くがうまく行っています。
中にはそれ以上の強度近視の患者さんもいますが、残念ながら当然成功率は低下していきます。角膜を強制するには限界があるからです。でも、中には期待した以上の結果を出す事がしばしばあります。
初期の強度近視の大学生の症例
2001年にナイトコンタクトを治療の一環に取り入れましたが、すぐに強度近視の大学生がやってきました。なんとマイナス10ジオプターの近視です。当然とてもできないし、近視の改善はできるがマイナス3ジオプター以上残るので、それでは普通の近視の人と変わらないからやる価値がないかもしれないと断りました。
しかし、それでも試したいと強く希望するので治療を始める事にしました。当院の本来のテストレンズの規格はマイナス1.5からマイナス6.0まででした。しかし、代理店のかたが規格外としてマイナス7.25ジオプターまで用意できるという事でした。そこでマイナス7.25のテストレンズを取り寄せて試用しました。
最初の数週間は0.2~0.4くらいの視力しか出ませんでしたが、大学生にそのまま試用を続けるように伝えました。それから学業が忙しくなったのか来院せずにいましたが一年後になんと裸眼で免許証が取れたと報告にきました。
裸眼で生活しているうちに視力が改善
当然、子供と大人を比較すれば子供の方が角膜が柔らかく、ナイトコンタクトの成功率は高くなります。マイナス6dくらいの近視でも大人の方が成功率が徐々に低くなります。
加齢により角膜の硬さが増すものだと考えています。中には大人でも角膜が柔らかく、すぐに結果が出る方もいらっしゃいます。逆に子供でも視力が安定するまでに1ヶ月以上かかる場合もあります。
最近もマイナス10dの強度近視の40代の女性の患者さんがナイトコンタクトを希望されて来院しました。こちらは先の大学生同様にうまくいっても近視が残り結局あきらめるかたが多いので難しいですよと説明しましたが、患者さんの希望が強くナイトコンタクトを試すことになりました。
3週目には裸眼視力が0.5くらいになり、今では生活のほとんどを裸眼で過ごしているとの事でした。治療をしている当事者としても、この患者さんが満足されているだけでなく、他の患者さんにも可能性がある限り試しても良いのではないかと考えています。
ナイトコンタクトレンズの進化
軽度の近視の場合は最初の数時間でも視力が1.0以上に改善する事は稀ではありません。
よくテレビで芸能人などが被検者となって数時間後に、わーっ、すごく見えるというパフォーマンスを行なっています。
テレビの番組といっても、ほとんどクリニックのコマーシャルと言ってもいいでしょう。新聞や雑誌でいうと記事広告みたいなものです。テレビ番組は全て事前に原稿が用意されてますから、出演者がオーバーに表現していることもあるとおもえますが、現在のナイトコンタクトのレンズは性能が実際に良いという事もあります。
1980年代にナイトコンタクト(オルソレンズ)のデザインに革命が起きたと言ってもいいでしょう。
それまでのオルソレンズはマイナス2dくらいでも矯正の裸眼視力が1.0以上になるのに1ヶ月以上もかかったようです。
しかし、現在使用しているレンズはマイナス2dの矯正なら1~2時間で1.0の視力が出る事も稀ではありません。現在も新しいデザインだと言って発表がありますが、基本的には30年前のデザイン革命から見るとマイナーチェンジにすぎません。
このようなレンズデザインの変革によりより高度な近視にも対応できる様になり、現在に至っているのです。
強度近視患者のナイトコンタクトの成功法則
どういう人が強度近視でもうまくいくのでしょうか?ポイントは2つあると思います。
1.ナイトコンタクトの治療に信頼を寄せている
2.日常生活に余裕がある
1つ目は何事にも言えますが、特に医療機関には例えがよくないかもしれませんが、冷やかしみたいな患者さんも見えます。いわゆるドクターショッピングと言われるような人々です。
どこに行ってもよくならないと言いながら、一回受診してそれっきり、という人々です。この様なタイプの方は何事も上手くいきません。
ナイトコンタクトの試用は1ヶ月ほど我慢できるかどうかが結果を出す重要な条件だと思います。2つ目は経過の途中、多少見にくくても我慢できるかがポイントです。
1ヶ月も不都合な生活を強いられる事が受けいられない方はなかなか続けられません。
例えば毎日、30分以上も車で通勤しているとか、仕事で細かな作業をしている方もなかなか続けられません。パソコンなどの細かい作業ではなく炊事洗濯掃除などの作業は多少視力が悪くても良いので続ける事により視力が上昇することは大いに期待できます。さらに、日常生活のためにいくつかの眼鏡を作る余裕も必要かもしれません。
ナイトコンタクトはやはり、画期的近視矯正法です。
初めてこんな治療法があると聞いた時、実際耳を疑いました。そんな馬鹿なと。
だって、コンタクトを外すのを忘れて目を真っ赤にしてクリニックを訪れる患者は多くいるし、ハードコンタクトレンズをはめただけで角膜が長時間矯正されるとは思いもしなかったからです。
何か特殊な薬剤でも使用しているのではと思ったりもしました。そんな事なら後々問題があったら訴えられても困るので止めておこうと思っていました。
しかし、アメリカでは30年以上の実績があり、医療訴訟も皆無であるクリニックが多いなど安心、安全が担保されているのだと考えて治療に取り入れる事にしました。
今では本当に多くの方に喜ばれ、採用して良かったと心から思っています。
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